仰ぎ見る瞳に遠しかの人の眼に深き落日の翳
抱かんと腕延べればなお遠く去りゆく背のいかにも多し
まずもって躓かぬよう彼方より神は遠くに仰ぐが重畳
捧げ持つ聖杯満たす紅の思いは深く後に哀しき
語れども聞く耳はなく溜息のひそと溢れて風に紛れぬ
聖典をひたと見つむる眼らに神の映れる暇すらなし
伏し拝む頭に飽くも向き合うにあまりに高き御身の憂鬱
いにしえはいにしえとなりこの頃は彷徨い続く栄光のゆえ
つれなきと異教の我れを責むごとく面差しまたも視界に滲む
我を見よと鷲掴むごと眼光の猛きに竦む日々の狭間に
赦しをば乞うべき君が民ならず何故に尚そこに在られる
逃れてはならぬ逃さぬ我れならで誰れに縋ると夜々の囁き
縁無き異教の民と申せるに黙して首を振りたるは何故
如何に言い言わずとやがて平れ伏すと佇み開く腕の憎し
敬虔な民人多く在りたるに野卑を追いしはいかにも酔狂
つらつらと日々に述べるも片言も聞こえぬ振りの聖なる面
この世なる身の小ささの口惜しき そろりそろりと後ずさるのみ